2013年6月27日木曜日

「事業会社の始めた投資組合はカスなので組まないほうがいいよ」

ユニオン・スクエア・ベンチャーズ創業者の一人であるフレッド・ウィルソンがCVCからの投資を如何に避けるべきか、についてインタビューの中で熱く語っている。彼のブログはVCの現場に近い小さな気づきがたくさん書いてあって、とても勉強になる。ユニオン・スクエア・ベンチャーズはニューヨークにあるVCでNYのテック系ベンチャー生態系の中心的な存在だ。過去に投資した会社はTwitter, Tumblr, Foursquare,Zynga, Kickstarter,10genなどがある。


かなり簡単にだが、訳をしてみた。(急いでやったので間違えがあるかも)

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「僕もあれからいくつか失敗をしてきた。たとえば、事業会社の投資組合と一緒に投資するとかね。絶対、絶対、絶対、絶対、死んでも、なにがあっても、どんなことがあっても彼らと一緒に投資しちゃいけない。絶対だめ。」


2013年6月20日木曜日

自分の頭の中を正確に伝える能力がない人の4つのパターン

 とりあえずの国語力/石原大作

「自分の頭の中のことをできるだけ正確に伝える」ということは、簡単なようでとても難しい。


前職で論理的に考えを表出することを徹底的に鍛えられた。そのことの価値を十分にわかってきたつもりだけど、役職が上がるほどこれに気をつけていないと組織全体の生産性を大きく毀損してしまうのではないか、ということを特に思うようになった。かつ、問題は論理性だけではない。頭の中が整理できていてもそれを伝える時に変なことになってしまう人が結構いる。そしてコンサルタントの仕事には、考えをわかりやすく表出することに慣れていない上級管理職の考えを言葉として整理してあげることも含まれる。そこにお金を払ってもらえるのはよいが、人が介さないとわかりやすい指示/メッセージングができない、というのはやっぱり効率が悪い。


伝える力が低い、という人には下記二つの原因がある。

※ここで「伝える」ということの意味合いは、論理構造を相手にわかりやすく伝える、という定義とし、感情を感情として伝える、という意味は除く(これもとても大切なことだけど)

1. 論理的に考える力が弱い 

2. 言葉の使い方に厳密さがない

伝える力が弱い人は1. もしくは2. のいずれかができないか、あるいは両方ができない。1. については問題意識も一般的に高く「ロジカルシンキング」とか「ピラミッドストラクチャー」とか、「MECEになってないよ、それ」というツッコミとか、仕事をしてて聞かない日はないような気がする。書籍もたくさん出ている。


一方、「2. 言葉の使い方に厳密さがない」という事象については結構見逃されているように思う。しかし
おそらく、「2. 言葉に対する厳密さ」の欠如は「1. 論理的に考えること」の精度にも大きく影響を与えているはずだ。したがって「2. 言葉の厳密さ」 について少し考えてみたいと思う。



2013年6月18日火曜日

値付け(プライシング)における3つの合理的な方法論

ビジネスについてあなたが知っていることはすべて間違っている/アラステア・ドライバーグ

プライシングについては昨日の記事でそのパターンをご紹介したが、本書は経済学的な観点からその本質的な意味を説明してくれている。

著者は最も効率的なプライシングの要点は下記だとする。
すべての顧客を個別に扱い、提供されるものに対して彼らがどれだけの価値を見いだしているかを正確に知り、それぞれの顧客に請求する料金は他の顧客に知られないようにする。この理想にできるだけ近づける価格戦略を考案する(P56)
つまりはこれ、経済学でいう需供曲線の均衡点でプライシングしましょう、ということなのだが、現実社会でこれを正確に把握することは難しい。しかし逆に考えれば、全てのプライシング手法は上記を把握するためのコスト/デメリットとメリットとの間にあるはずだ。


2013年6月17日月曜日

値付け(プライシング)は経営そのもの

スマート・プライシング 利益を生み出す新価格戦略/ジャグモハン・ラジュー, Z・ジョン・チャン 

経営において経営者が自社の収益性を高めるためにコントロールできるレバーは4つしかない、と著者たちは言う。その4つとは、「価格」「販売数量」「固定費」「変動費」である。これらはもう少し整理すると下記のように表現できるように思う。




このうちの「単価=価格」が本書のテーマなのだが、小さな利幅の繰り返しで利益を積み上げる飲食や小売り業にとっては、特に生命線とも言っていいテーマだ。本書はこのプライシングにおいてのパターン化を手助けしてくれる。
書籍の評価をする際に、このパターン化を容易にしてくれるかどうか、がひとつの指標となりうる。経営者の書いた本は具体性と視点の多様さという点において非常に勉強になる。一方、この本のように学者が書いた本は事例をパターンとしてすでに提示してくれるので、パターン化は容易だ。
経営効率の上の図と、下記にまとめたプライシングのパターンを見ながら、戦略を考えてみると経営効率を上げるためのアイディアが浮かんでくるかも知れない。

※このモデルを飲食業に当てはめて考えると、飲食の業態というのは多くが1. コストプラス法、2.スキミング(高級レストランなど) 、3. 競争に基づく価格設定、4. 需要に基づく価格設定の伝統的な4つの視点でプライシングされていることがわかる。5.〜12.のプライシングの方法を飲食の業態に当てはめると・・・と考えることで新しい飲食のビジネスモデルを考えるネタになる。


2013年6月16日日曜日

書評:サイゼリヤの至った境地-徹底的な改善の先にある効率性を飲食業で実践する

おいしいから売れるのではない 売れているのがおいしい料理だ/正垣泰彦

うーん。この本、学べるポイントが多すぎる。特にプライシングについては秀逸。プライシングのみならず、経営に対して、全体的にかつ個別事項に関しては極めて細かくアプローチすることで経営効率の飛躍的な改善を図ると同時に、そこから競争優位性を生むことができるという王道をやりきった人、という印象。

食品産業のあり方として地産地消のものを食べよう、正当な価格を農家に支払おう、という新しい哲学が一部で台頭してきていて、それとは相容れないものだけれど、サイゼリヤの事例は彼らにとってもその全体のシステムを設計するにあたって有益なものだと思う。好き嫌いはありそうだけど。

2013年6月11日火曜日

成果を上げるときのインプット(読書)の価値について

本を読むという行為の成果を求めない、というのが本ブログの主旨ではあるのだけれど事業戦略を考えるにあたっては、極めて有用であることを実感しているので簡単にメモをまとめておく。

大学時代に、ショーペンハウエルの下記の本を読んだことがある。
読書について/ショーペンハウエル

ベゾスが井深さんに学んだこと-自分の会社以上のものを、会社のミッションとして据える

World Changers: 25 Entrepreneurs Who Changed Business as We Knew It
Amazon のベゾスに関する書籍を探していてたどり着いた。25人の起業家の物語が簡単に書いてある。この本は萎えたときに「あの人もこの人も、あんなに、こんなに大変なことを乗り越えたんだなー」と思って自分を鼓舞するためには役に立つかも知れないが、実務的なことを求めて読む本ではない。

ただ、ベゾスがソニーの井深さんのミッション設計を参考にしていた風な発言が書いてあったのでメモ代わりに書いておく。

2013年6月6日木曜日

これまでにAmazonでどれくらいの買い物をしたか

いままでにどれくらアマゾンで買い物したのか。
下記のサイトでこれを自動で計算してくれるコードが紹介されている。


2013年6月5日水曜日

書評:飲食業の事業構造を理解するのに非常に優れた本。

ランチは儲からない 飲み放題は儲かる 飲食店の「不思議な算数」/江間 正和 

これは飲食業でこれから独立開業する人は必ず読んだ方がいい本。なんて親切な本なんだー。おそらく、普通のビジネスオーナーはこういうことを自分のお金でリスクをとって開業した後に、痛みと一緒に学んでいくのだろう。そして飲食店を利用する側の人も読んでおくと彼らを評価する軸ができるかも知れない。
飲食業についてビジネスモデルを理解しようとした時に、エクセルのモデリングに慣れた人なら数字を使ってその構造を解き明かすことができる。しかし、その際に困るのが未経験の場合、「何にどれくらいお金がかかるのか」ということがわからないことだ。もし仮にそれがわかったとしても、それぞれにどれくらいお金を使うのが適切なのか、業界の平均的な水準は何なのかを調べるのは、難しい。著者は住友信託で5年間働いたあと、自分のお店を新宿にもち、その経験を生かして飲食業へのコンサルティングを手がけている人だ。異業種から参入したからこその説明の仕方を、随所に見ることができる。


2013年6月1日土曜日

書評:俺のイタリアン、俺のフレンチは事業開発の優れた事例

俺のイタリアン、俺のフレンチ―ぶっちぎりで勝つ競争優位性のつくり方/坂本孝

BOOKOFF(ブックオフ)の創業者で、現在はバリュークリエイトの経営者である坂本氏の本。文体は話し言葉をゴーストライターがおこしたんだろうなー、と思える本なんだけど、とても面白かった。そしてこの人も稲森さんの盛和塾にに傾倒した人なんだな。盛和塾については「宗教か!」みたいなツッコミもよく聞くけれど、これだけ多くの経営者に影響を与え、彼らが困難に対峙するときに彼らを支えてきた貢献はとても大きいものだと思う。そもそも、経営におけるビジョンの浸透は、宗教における教義の浸透とあんまり変わらない部分も多い。

「俺の」のビジネスモデルとしてのすごさは、飲食業における通常の原価率である3割を遥かに超えた原価率の食事を提供しながら、驚異的な成長を遂げていることだ。