2014年1月27日月曜日

ジェフ・ベゾスの長期的な視野とグローバリゼーション

ジェフ・ベゾス 果てなき野望―アマゾンを創った無敵の奇才経営者/ブラッド・ストーン

この本、原書で読んでいるのだが以前のエントリーで書いた、長期的に考える、ということの意味が下記の内容からよくわかる。(日経ビジネスオンラインから日本語を抜粋)


http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20140117/258370/?rt=nocnt

iPhoneはすばらしい製品であり、ユーザーはジョブズが設定した値段を喜んで支払う。何も問題はないように見えるが、ベゾスに言わせればそれが失敗なのだ。つまりこの分野でiPhoneがそれだけの利益を上げられたのであれば、利益率を少々削れば価格優位な製品が作れると広く認識させてしまった。グーグルがAndroid OSを無料でメーカーに提供開始すると同時に、スマートフォン市場は一気に激烈な競争の中に投げ込まれた。アップルは天文学的なキャッシュを社内に積み上げることには成功したが、スマートフォンのシェアではあっという間にAndroidに敗れた。
通常、価格競争はある分野で優位に立った企業に対して後発企業が仕掛けるのが通例だ。しかしアマゾンは、「先制価格戦争」あるは「予防的価格戦争」を仕掛ける。新事業のスタートの際に意識的に赤字覚悟の料金を設定する(ちなみに、その時点で競争相手は存在しないから被害を受ける相手もいないので反トラスト法が定める不正競争行為に該当しようがない)。
ここから何がわかるか。



この、「利益率を少々削れば価格優位な製品が作れると広く認識させてしまった」という事実は家電業界では長らく続いてきたことだ。たとえば、戦後の日本企業→アメリカ企業に対する追い上げ、90年代以降の韓国企業→日本企業に対する追い上げ、という構図である。そしてこれからは中国企業→韓国企業の追い上げが本格化する。その先には、政治の安定を前提にASEAN諸国が出てくるだろう。古くはアメリカ企業→ヨーロッパ企業への追い上げも入るだろう。安い労働力で似たような品質の安い製品を販売し、市場のリーダーを追い上げる、という戦略はいわば宿命のように繰り返されてきた。

そしてそれを防ぐために、
エイドリアン・スライウォッツキーが下記の本で紹介しているような「
製品ピラミッド利益モデル」などの戦略をとって、いかに優位なポジションを守っていくかが常に経営者にとっての課題であった。


 

プロフィット・ゾーン経営戦略―真の利益中心型ビジネスへの革新 [単行本] / エイドリアン・J. スライウォツキー


グローバリゼーションは「安い労働力+模倣」のセットで新興国の企業を育て、「安い労働力」が存在する地域をどんどん減らしている。

ベゾスは多くのテック系企業の栄枯盛衰をみて、どうやったらそのサイクルに入らなくていいのか、ということを徹底的に考えたのだろう。

ベゾスの戦略は、単なる長期的視点とか徹底的に勝ちに行く、みたいなことだけではなくてもっと本質的な戦略の常識からの逸脱・転換であるように思う。

アマゾンにどうやって対抗するか。これを考えるのはとても面白い。

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