2014年5月18日日曜日

北米のフードトレンド:ヒップスターとアーティザン

ヒップスター(hipster)という言葉がある。いまいち回りでカナダの人々が話している定義にあった日本語の訳がなかったので、食べ物に関する文化と合わせて書いてみよう。

このヒップスターという言葉、いろんなところでよく聞く。生息地はニューヨーク、シカゴ、サンフランシスコなど大都市で、ここトロントでもかなりの数が確認できる。ヒップスターマーケティングとかいう言葉もあるようだ。こないだ町を歩いていたら、ヒップスター狙いのデザインの歯医者さんまであった。

もう一つ、日本にいたころは感じなかった北米のフードトレンドの一つがアーティザン(artisan)と呼ばれる小さなスケールのフードベンチャーがかなり増えている、ということだ。で、起業ネタとしても食べ物が結構熱い。フードではないけど、コーヒーで$25 million のファンドレイズに成功した The Blue Bottle Coffeeなどは知っている人も多いと思う。ちなみに彼らは日本への進出が決まっている。
フードスタートアップが一番熱いのはおそらくブルックリンだろう。クラウドファンディングも含めて、フードスタートアップ向けのファンディングプログラム、スタートアップ用のキッチンのレンタルサービス(北米は日本よりはるかにレストランの衛生に関するチェックが厳しい)、インキュベーションサービス、フードスタートアップが集まる屋外のマーケットなどが多く開催されている。

で、このアーティザンのスモールスケールのフードスタートアップが大流行りしているのとヒップスターはかなり関係がある。
かなり主観によってるので、正しくないかもだけれど、回りで話してるのを聞いてるとこんな感じではないかなー、と思うところを書いてみよう。

まず、ネットにある英語の定義をみてみる。
http://www.urbandictionary.com/define.php?term=hipster
Hipsters are a subculture of men and women typically in their 20's and 30's that value independent thinking, counter-culture, progressive politics, an appreciation of art and indie-rock, creativity, intelligence, and witty banter. (ヒップスターは典型的には20代から30代のサブカルチャーで、彼らは独立的な思考や、カウンターカルチャー、政治的には進歩的でアートやインディーロック、クリエイティビティ、知性,ウィットのある会話を好む。) 
Hipsters reject the culturally-ignorant attitudes of mainstream consumers, and are often be seen wearing vintage and thrift store inspired fashions, tight-fitting jeans, old-school sneakers, and sometimes thick rimmed glasses. Both hipster men and women sport similar androgynous hair styles that include combinations of messy shag cuts and asymmetric side-swept bangs. (ヒップスターはメインストリームの消費者の文化的に無教養な態度を拒絶する。そして大抵、ヴィンテージ、タイトなジーンズ、オールドファッションなスニーカー、厚い縁のめがねなど古着屋にインスパイヤーされたようなファッションの服を着ている。ヒップスターの女性も男性も似たような中性的な、整っているとは言えない、左右非対称の前髪をもつヘヤースタイルをしている。)
しかし、ヒップスターは自分で名乗るようなものではない。なぜならそこには何とも言えない皮肉のようなニュアンスが含まれているからだ。その感じがなんとなく説明できないもやもや感だったのだが、それをよく説明してくれている動画があった。



彼によると、ヒップスターは演技的なのだ。何かを本当に好きだからやるのではなく、それがクールだからやる。例えば、こちらで職人的な要素の一つとして流行っていることの一つにピクルスを作る、ということがあるんだけど、料理とか漬物作るとか好きでなくても、カッコいいからやる。

そしてその流れに寄り添うようにスモールスケールのフードスタートアップが多く受け入れられる、という現象が起きるのではないか。

ちなみに、これと対照的な例としてNerd/Geekが取り上げられている。Nerdsにとっては「自分が好きかどうか」がすべてだ。人からどう思われるかどうかはどうでもいいのだ。むしろ一般的にそれほど注目されないものを好きでいることを誇りに思ってる。しかもテック系の人々の印象がそこに付加されて、なんだかさらにカッコいいイメージさえある。そこが日本語の「オタク」と若干語感が違うところだと思う。

北米のフードスタートアップ流行りはフェアトレード、ローカル、NON-GMO、オーガニックなど、ものを食べるという行為を思想としてもっと「正しく行いたい」というより深い動機が人々の中にあることが背景にあるとは思うけれど、ヒップスターはその流れに大きくレバレッジをかけている。

ローカルに作られ、材料もできるだけローカルに調達され、遠隔の場合はフェアトレードされた食材を使って、職人的に小ロットで食べ物を作るフードアントレプレナー達への敬意のようなものを表出してくれるヒップスターがいてくれるおかげで、北米のフードスタートアップはより勢いを持てている。(ような気がする)

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