2014年5月8日木曜日

各国の交渉スタイルの違い(中国、香港、韓国、ドイツ、米国、インド)とステレオタイプを学ぶことの価値


この記事が話のネタとしては面白いのでご紹介。駐在員の居酒屋談義ぐらいには使えるかも。

25 Fascinating Charts Of Negotiation Styles Around The World

http://www.businessinsider.com.au/communication-charts-around-the-world-2014-3


こういうのは真に受けるべきではないと思うし、実際あんまり使えないのではないかと思うけど各国の人へのステレオタイプが表現されてて面白い。残念ながら日本人はこの記事にはないが、'When Cultures Collide'という本には掲載されているようだ。


 When Cultures Collide: Leading Across Cultures: Leading, Teamworking and Managing Across the Globe / Richard D. Lewis


こういう一般化に対する危険性については著者も十分に認識しているようで、下記のように言っている。

“Determining national characteristics is treading a minefield of inaccurate assessment and surprising exception. There is, however, such a thing as a national norm.” (各国のキャラクターを定義してしまうことは不正確なアセスメントと驚くべき例外の発生の原因になる。しかしながら、そういうものは国の規範として実際存在しているのだ。)

では、抜粋にはなるが一つずつ見てみる。 

Chinese tend to be more direct than the Japanese and some other East Asians; however, meetings are principally for information gathering, with the real decisions made elsewhere. Hong Kongers negotiate much more briskly to achieve quick results.(中国人は日本人やその他の東アジアの人々よりも率直である傾向にあるが、会議の第一目的は情報の収集にあり、本当の決定は他の場所でなされる。 香港の人々は性急な結果を得るために大陸の人々よりももっと快活に交渉する。)


中でも一番強烈だなー、と思ったのが韓国人。こんなの見たら韓国の人怒っちゃうんじゃないか。
Koreans tend to be energetic conversationalists who seek to close deals quickly, occasionally stretching the truth. (韓国人は早く結論を出すために熱狂的に話す傾向にある。また時折、「真実」を誇張する)
とあるのだが、真ん中の円の中の"KOREAN ELASTIC TRUTH"(韓国人の変幻自在(?)な真実)のところに書いてあるのが、次のこと。ここまで言われると、「嘘をついてる」と言っているに近い。
<韓国人の変幻自在な真実>
  • 関係のある真実
  • 良いニュースだけ
  • 彼らが「あなたが聞きたいと思っている内容」だと思うこと
  • 彼らが「真実であってほしい」と思っていること
  • 彼らが「真実である可能性がある」と思えること
  • 暫定的な真実
・・・・とここまで書いて韓国人が怒っちゃう、と思うのは私が韓国の方々の交渉スタイルを知らない、ということかもしれない思い直す。彼らにとってみれば「変幻自在な真実」を使って交渉することはモラルとしておかしなことではない、ということなのかもしれないので、これが交渉スタイルの違い、と著者が呼んでいるものなのかもしれない。友人の韓国人に聞いてみたい。

ちなみに個人的に知っている韓国の人々からは真実を誇張して話すような印象は、一切持ったことがない。しかも、こういう人は日本人にもいるだろうし、多かれ少なかれ誰にでもあるのではないかと思う。程度の問題ではあるが。

ただ、韓国人に限らず、自分の言っていることが往々にしてい誇張されている、と認識されることは組織の中のコミュニケーション戦略としてもまずい。特にボスの立場からするとその人の言っていることが誇張されている、という前提がいつもあるとしたら毎回、本当かどうか裏を取る必要があり、情報収集のコストが上がるので、使いにくい、という印象を持たれてしまう。当然、組織の外に対してもこう思われてしまうのは得策ではない。

アメリカ人、真ん中部分が大きいなあ。
Americans, for instance, tend to launch right into negotiations, respond to discord confrontationally, and resolve with one or both sides making concessions.


これだけ見ると、カナダ人はなんてシンプルで合理的なんだ、ということになる。でもトロントに住んでる身としては、アジアからこの国に来たばかりの人々の多さを見るにつけ、カナダ人って誰のことなんだろうなー、と思ってしまう。ただ、自分が交渉するならこういう人が相手がいい。
Canadians tend to be more low-key and inclined to seek harmony, though they are similarly direct.

Germans rely on logic but “tend to amass more evidence and labour their points more than either the British or the French.”





Indian English “excels in ambiguity, and such things as truth and appearances are often subject to negotiation.”


ステレオタイプを持つことに対しては、自分に対して厳しくその排除を求めなければならないと思う。けれど、一般的にどのような民族に対してどのようなステレオタイプが世界中で持たれているのか、ということを学ぶことは次の二つの点から非常に重要だと考える。

<ステレオタイプの存在を学ぶことの二つの意義>
1. ステレオタイプを持っていることを知るために世の中に存在するバイアスを知る

人間の成長というのはステレオタイプを作り続けることとも似ている。子供が大人になる過程の成長というのは、さまざまな社会規範を学んでいくことが一つの大きな要素となっている。子供だけでなく、若者が社会の中で成長してくこともそうだ。「若気のいたり」がある行為のエクスキューズになるケースがあるのは、若いうちには理解できていない、知らないことが許される規範が人々の中に存在しているということの現れでもある。
人間はただ生きているだけでさまざまなものを目にするし、判断し、意思決定している。すべてのものをスクラッチで最初から認識、判断、意思決定していたら1日が足りなくなる。だから過去の経験からさまざまなパターンを脳の中に作り出し、そのパターンを使って意思決定の効率を上げている。パターンは大人になるほど増えていく。そして多くのパターンを積み上げていくことは成長の一つでもあるのだ。
一方でパターン化の弊害はあって、本来同じでないものを同じだと認識してしまったり、思考停止の原因になったりもするだろう。ある民族に属する人に対するステレオタイプによるジャッジメントはパターン化の弊害が出やすい要素の一つだと思う。
でも、だからこそ私たちは、世界の人々が特定の民族に対して持っているステレオタイプを知っておかなければならないのだと思う。人間はパターン化によって意思決定の効率を上げようとする動物なのだ。それが誰かの人権を侵害したり、物事をよりフェアに見せないことによって大きな社会的なコストがかかる恐れがあることを認識するためには「その広く認められているバイアスがどういうものか」ということを知る必要がある。

2.ステレオタイプが分からないと英語圏の ジョークが分からない
人種が違う人たちのステレオタイプに基づくジョークは、結構見られる。例えば下記のカナダ人のコメディアンは人種に関するジョークで有名だ。おもしろいなー、と思うのは人種の違いをステレオタイプも含めて笑い飛ばすことで色んなことを引いて見ることができることだ。
このショーの最後のほうに「白人よりそれ以外の人種の方がずっとレイシストだよね」とRussellがジョークにする部分があるんだけれど、これなんかはほんとそうだと思う。そのうち日本人へのステレオタイプを使ってスタンドアップコメディを作ってみたい。

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